花物語

久方ぶりの更新。
この一カ月、色々読みましたが更新する間がなかなか…。
とりあえず今回は「花物語」を。

総天然腐女子神原駿河が主役となって直江津の街を駆け巡る!
と言いたいところですが、どちらかといえば青春の苦悩を描いたような…。
読後は、ほろ苦さが残る清涼感…上質のブラックコーヒーを飲んだ気分でした。

<私は馬鹿みたいに生きているけれど。
 あなたはいったい、どんな風に生きている?>

この一言が自分の胸に深く突き刺さります。
自分を改めて考えさせられる作品となりました。
他にも、グッとくる言葉がちりばめられており、珠玉といえるでしょう。


左腕を悪魔の呪いで猿の手となってしまった駿河。訳あって、巷で流行している「悪魔様」の正体を探るべく動き始めるのだが…。暦やひたぎ、翼も卒業してしまい、一人残された彼女は何だか寂しそうな様子。亡き母との回想、母の知人だと現れた詐欺師・貝木泥舟。バスケ時代のライバル・沼地との再会。そして「悪魔様」の正体…。

これだけだと、いつにもまして地味な青春小説のように感じてしまうかもしれませんが、その分、駿河の心情に深く入り込んだ読みごたえのあるものになってました。どんな題材でもやはり西尾維新の作品は面白い。

真っ直ぐな彼女がうだうだ悩んだ末に突き進む姿は読んでて清々しかったです。
何度読んでも楽しめました。



次は「囮物語」を。


花物語 (講談社BOX)

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