変態王子と笑わない猫5 

<ともかく―女の子に順番をつけて適切な選択肢を選べば、
 お仕着せのハッピーエンドが降ってきておしまい? 
 そういうルールはゲームの中だけで充分だ。ぼくらは現実の物語の中に生きている。
 現実の終わらない世界のなかで、ずっと生き続けなければならない。一番二番だなんて、 誰も幸せにならない。だけど、筒隠しは違う。
 どうしても一番になりたいと言う。
 だったらぼくは、筒隠のために働くと誓ったぼくは、できることをすべてやらないといけないんじゃないんだろうか。>


何気にハーレム状態の変態王子こと陽人は真面目に考えているんだなぁ、と改めて感心してしまった。ここまでヒロインについて、現実に照らし合わせて表現した作品はそうそうお目にかかった事はないような気がする。単にモテて困って、「どうやりくりしようか」と悩むのではなく、その先にあるものを考えてることに今までにない新しい風のようなものを感じました。たまたま気付いたのが、この作品なのかもしれないですけどね。

猫の呪いでタイムスリップした陽人と月子。そこはなんと10年前の時代で…。


<「『不平とは人間にとり、進歩の第一段階である』」
 「……え?」
 ふと口をついて出たぼくの言葉に、ぼくが一番驚いた。
 少年と顔を見合わせて、息を整える。
 言わなくちゃいけないことは、とっくの昔に承知していた気がした。>
 


読む者に勇気を希望を与える一言。全然、内容に触れてないけどこの一言の先にある結末をぜひ読んでほしいです。

変態王子と笑わない猫。5 (MF文庫J)

変態王子と笑わない猫。5 (MF文庫J)