レイセンFile.4 サマーウォー
<ダッ、とヒデオは逃げ出した。
ガッ、と花果菜がその手を捕まえた。
「川村さん、どこへ行こうというのです」
ギギギと、花果菜が華奢な腕からは想像もできない力で、ヒデオの腕を締め上げる。
グググと、ヒデオが細腕からは想像もできないヒキコモリパワーで抗う。
「何を言っているのですか。温泉旅行と、秘湯中の秘湯と」
「ちゃんと風呂には温泉を引いてありますし、一般開放はしていない秘湯ですから」
「しかし。あなたの実家とは、一言も」
「ええ、ですがどこに泊まるとも言わなかったはずです」
は……。
はめられた……!?>
前回の合宿で知り合った天白花果菜の誘いで一泊二日の温泉旅行!かと思ったら、そこは花果菜の実家。さらに出迎えたのは「マスラヲ」でも登場したアカネで……。何を言うかと思ったら、
<「ダーリンに今日一日、私のフィアンセになってもらいたいの」
「どんなサマーウォーズですか」>
親の決めたフィアンセとの対決に否応なしに巻き込まれたヒデオ。元関東機関の千影も登場し、幾重にも物語は重なっていくのですが、やはりそこはヒキオタニート。人が増えれば増えるほど存在感を無くしていき…。
だが、要所要所で見せる読みの深さとハッタリ(今回は少々薄め)は読んでて盛り上がります。メインの「サマーウォー」編だけでなく、番外編の「Dear my home」も笑えます。
<ピンポーン。
さっそく最初のチャイムが鳴った。
ヒデオは玄関に向かい、ドアを開ける。
「来たわ、旦那様」
「……。はい……」
エルシア様だった。>
美奈子、睡蓮、千影、花果菜の4人に加え、エルシア様の突然の訪問!フラグの嵐が立ちまくるヒデオの元にさらには一人の少女がやってくる!!
いったい彼に何が起こったのか?
ドタバタな展開を予想していたら、ちょっぴり切ないラストにグッときました。
もちろん、File.1の「お暑いデートはいかが」も良いですよ!
何度読み直しても飽きない面白さ。1巻から読み直したくなりました。
- 作者: 林トモアキ,上田夢人
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/12/28
- メディア: 文庫
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