マージナルオペレーション

<まあ、一年仕事したら日本に戻って、そこからまた見始めよう。などとおもった。今は貯金が出来る事を喜ばねば。
いずれにせよ、僕は与えられた課題をこなし続けていた。>

<もうまっぴらだ。
 僕はそう思う。
 自分がその片棒を担いでいるのに気づいてしまった。想像力の不足が無意識の悪意になり、悪意が連鎖して世界が出来ているように感じる。>


30歳ニート。さしたる特技や長所も無く世間からのおいてけぼり感を感じつつ、でも何かをやらなければと思うが、何も動けず。そんな彼が偶然、目にした職業が「傭兵」。とはいっても、直接戦地に赴くのではなく後方からのオペレーション。ゲーム画面のようなモニターを前に淡々と青いボタンを押して任務を遂行していく。数値化され、増減する兵士の数にさしたることも感じないでいた彼が、戦地で直接指揮をとることになる。そこで目にした現実に何を想うのか…。

作者は「ガンパレードマーチ」のゲームデザインなど、数々の名作ゲームを世に送り出した芝村裕吏。独特の無名世界観が、この作品でもその魅力を損なわず、魅力的に表現されています。主人公も便宜上、名前がつけられてるが、いつ自分も無職になるかもしれないことを考えながら読むと、何となく共感してしまいました。自分だったら給料の高さに惹かれて働くのか、倫理感に沿って別の職業に就くのか…。悩むところです。

01とついていたので、続編も出るのでしょうか?是非読みたいです。次はどこの国で戦うのかが楽しみになりました。

マージナル・オペレーション 01 (星海社FICTIONS)

マージナル・オペレーション 01 (星海社FICTIONS)