月色プラットホーム

どこかで読んだような懐かしさを感じた。

おお!自分の卒業制作に書いたオーディオドラマの脚本に似てるんだ。

どこらへんが似てるかは、色々あるといけないので割愛するとして、一つ挙げるなら、見えないものが見える主人公匠海と、彼が沙月の仕事を手伝う動機かな。

てか、それでほとんどじゃん。あとは全然違うんだけどね。あ、もう一つ、お兄ちゃんの亡くなった理由も似てるかな。

それでも、最近のラノベと比べるといささか静かな展開に逆に驚いた。それこそ、これをオーディオドラマの脚本にしてぜひ作ってみたいものだ。

そのときは快く了承して頂けることを願います。


で、感想。

率直に言えばおもしろかった。
話はボーイミーツガールというよりジュブナイルテイスト。

少年時代の決意を胸に秘めて幼なじみの少女、綾芽を見守る匠海。

彼がふとしたきっかけで出会った幽霊列車に幽霊車掌、沙月と運転手の白塚。それほど劇的なものがない出会いにこの後には急展開を期待したのだが、それほどのヤマはなかった。

が、確かに戦いが起きたり誰かが死んだり(霊だから死んでるけど)することもなく緩やかに過ぎていった。

でも、そこに作者の力量を感じた。

登場人物たちの内面を深く、静かに浮かび上がらせ、それこそタイトルのように匠海や沙月、綾芽の心情を月色に優しく表現し、自分の心に淡い光を照らしてくれた。

それにしても、惜しむらくは沙月の匠海に対する想いが不完全燃焼になってしまったのが残念。


続編はないんだろうなぁ。

ま、なければ無いで脳内物語で楽しむことにしますか。


月色プラットホーム (一迅社文庫 み 2-1)

月色プラットホーム (一迅社文庫 み 2-1)