第二回コンテンツ文化史学会に行ってきました

ライトノベル
を主題に扱うということで、初めて学会なるものに行ってみました。

詳しい内容は、多分他の方が発表するだろうし、簡単に内容と感想を。


13:00-13:40 大島丈志「ライトノベルにおける日本近代文学の受容」
13:40-14:20 井上乃武「コンテンツ横断的テクスト受容の試み-児童文学からライトノベルへ」
14:20-14:30 休憩
14:30-15:10 山中智省「揺れ動く「ライトノベル」-ジャンル形成の現在」
15:10-15:20 休憩
15:20-16:20 総合討論

流れはこんな感じです。

大島さんは、「文学少女」と「半分の月がのぼる空」の作中で扱われている宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」を通して、ライトノベル近代文学の相関関係について(今回は作品同士の関係性という意味で)述べられていた。

いままで単純に文学作品をモチーフにした作品としか受け止めていなかった「文学少女」や「半分の月」が、今回のように比較することで、浮かび上がってくる相互関係が非常に面白かった。

自分の印象に残ったのは、上記の2作品が単なる宮澤作品の紹介だけでなく道徳的な正しさを表現している可能性について言及されてたところでした。

文学作品の引用によって、感情の代弁を行い、かつ、これまで大衆文学にもった成長小説としての意味合いも含まれているという突っ込んだ発表は、普段考えなしに読んでいる自分としては、これからの読み方を考えさせられる言葉でした。


井上さんの発表は、小沢正や岡田淳からの引用を基に考察されたものであり、児童文学をそんなに読まない自分にとっては未知の領域でした。しかし、小沢正の引用文は40年も前の発表なのに、今読んでも全然古臭くなくて、むしろ現在の問題を端的に言い当てているかのごとく自分には新鮮に映りました。

岡田淳の「選ばなかった冒険」を通して語られる「ゲーム的リアリズムとの位置関係」や「ファンタジーの死滅」、「創作者の恣意」などは、予備知識ほとんど0に等しい自分は頭がパンクしそうでしたが、なんとかついていけた、はずです……。
こちらにかんしては、受け止めるのが精いっぱいなので、何を書いても説得力がないと思います。なので、ここはもう少し勉強してからということで御容赦を。


山中さんの発表は、ライトノベルの発生から一時期のブームを経た現在までの流れをまとめたものでした。
出版側の機関紙「出版月報」でのライトノベルの扱われ方から、文学界でのライトノベルの立ち位置の変遷まで、これまでの大きな流れを知ることができ、非常に有意義なものでした。

参加者の中には「ライトノベル文学論」の著者榎本秋さんもいて、質問では非常に鋭い指摘で山中さんもたじたじだった印象です。


最後の全体討論では、やはりと言うか、あづまさんについてのコメントを求められてました。
確かに、大島、井上両者があづまさんを意識していることは端々に伝わってきたので、「そりゃ興味あるよな」と質問者に激しく同意。

回答については、誤解を招くといけないので細かく書かないが、一つだけ書けるのは、「これまで、東さんのことについて誰もが色々な事を言っているが、彼の理論を越えるものはまだない。それが現状」

最後は、青学の学生さんの「アカデミックヒエラルキーについて」
という回答に、皆さん大弱り。多分、一番聴衆の反応が大きかった場面でした。


総括
今回の学会に参加できて、大変有意義な時間を過ごせました。ただのラノベ好きである自分の知らない世界を垣間見れて良かったです。
懇親会にも行きたかったが仕事で行けなかったので、次回は是非参加したいです。
来月28日にも行われるそうなので、仕事の都合がつき次第参加するつもりです。今度は、質問の一つもできるように予習をして向かいます。

最後に、この文章はあくまで自分の主観によるものであり、発表した内容との多少の齟齬があるかもしれないことをご了承くださいませ。


久しぶりに脳が回転した気がしました。

ライトノベル研究序説

ライトノベル研究序説