おもいでエマノン

20世紀ノスタルジックSFとして、次世代に残したい作品第一位である「おもいでエマノン」との出会いは、鶴田謙二の漫画が最初でした。

そのときに読んだ衝撃は一生忘れられない。

SFなのに、タイムリープも宇宙船も、未来を感じさせるものは何一つ無く、それどころかエマノン自身の原初から持ち続ける記憶のみがSFとしての世界観を成立させているのだ。

いつまでも消えることの無い記憶を持って旅を続けるエマノンに、高橋留美子の「人魚の森」を思い出す。昭和の少し色褪せた記憶がかろうじて異世界観を表現しているこの世界で、彼女は何の為に旅を続けるのか。彼女の終着点は一体どこになるのだろうか。「グリーンレクイエム」のような悲しい結末だけは読みたくないものです。続編のような軽い終わり方なら自分的にありですが。

おもいでエマノン (徳間デュアル文庫)

おもいでエマノン (徳間デュアル文庫)