B・A・D1     とある魔術の禁書目録21 22

B・A・D

うーん、どす黒い…。
「繭墨霊能探偵事務所」で助手として働く小田切勤の一人称で進められるこの連作短編は、あらすじを読んで「GOSICK」の現代版程度に思っていたら、とんでもない。思わず「正気ですか?」とツッコミたくなるようなダークさを持ったミステリアスホラーだ。他の感想で読んだ通り、これは「読者を選ぶ」クセのある作品でした。
ドリアンのような、凄く近寄りがたい異臭を放ちながらも、実際に食すと病みつきになるような…いや実際に食べたことがないので想像ですが…。

作家で言えば、[藤原祐]が連想されました。

<「殺人犯の依頼の、何がいけないんだい?」>

この一言が、作品の特徴を物語っていますね。賛否両論ありそうな内容ですが、読後の何ともいえないほろ苦さを後味の悪さと受け取るか、芳醇な味わいの余韻と感じるかは誰に感情移入するかで大きく変わってくるでしょう。

文学少女風の感想は、自分で書いてて分かったような分からんような…。

B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)

B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)

とある魔術の禁書目録21 22

インデックスを右方のフィアンマから救う為に走る上条、ラストオーダーを学園都市のネットワークから解放する為に汚れていく一方通行、滝壺が助かる方法を探す為に動く浜面。三者三様の理由を胸に進み続ける男達が紡ぎあげてきた物語も、それぞれの形を成して一つの結末へと収束していく。

とうとう「神の右席」編も終了!自分の中では「サイボーグ009」が連想される、息もつかせぬハイテンションな展開に驚きっぱなしでした。
どこがどうじゃなく、どこまで行ってもクライマックスの状態で、通勤中に読もうと思ってたのに、寝る前にちょっとページをめくると、その手は止まらずラストまで一気に読んでしまいました!おかげで次の日は、眠気との戦いでした。

下手に内容をしゃべって興ざめされるよりは「何も聞かずに読んでほしい!」と声を大にして言いますこれだけの大風呂敷を広げながら、よくこれだけきちんと次につなげつつまとめたものだと感嘆してしまった。登場人物それぞれの見せ場も読みごたえ十分で、一つずつ分けてそれぞれの視点から読んでみたいと思わせる迫力があった。

レベル0という無力さを逆手に取った設定がここまで壮大な冒険譚になるとは、一巻を読んだ時は、全く想像もしませんでした。「新約・とある魔術の禁書目録」も発売して、今後もますます楽しみです!