シアター!

<「人間が何かを諦めるのに必要な条件って分かる?」
 解答を待つ表情になった千歳に、司は笑った。さぞや意地の悪い顔になっているのだろうなと思いながら。
 「全力でやって折れることだよ」>

真理を得た答えだと思います。

自分の兄も今年35になるのだがいつまでたっても役者の卵で、まさに「シアター!」の登場人物そのもの!!芝居の世界から離れられずにバイトや親の仕送りまでもらいながらしがみつき、いつまでたってもモノにならず…。

知り合いは「夢があってうらやましい」とかなんとか言ったりするが、
身内にしてみれば、いい迷惑だ。

自分は小劇団「シアターフラッグ」主催・巧の兄である司の心境が痛いほどよく分かる。

そういった意味では、自分の中の「兄にもこうなって欲しい」という願望がここに詰まっている。

誰にでも読める分かり易い言葉で有川浩にしか描けない世界がここにある。


最後に一言、「面白かった」

シアター! (メディアワークス文庫)

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