レジンキャストミルク7 8
とうとう完結。ここまで暗いことばっかりで、最後位は救いが見えてくるのかと思ったが、ここまでの流れ的に「最後は皆ハッピーエンド」というわけにいくはずもなく……。殊子だけでなく、里緒まで消滅してしまうことに。作者が7のあとがきに「殊子の死を描くことが苦しかった」という告白していたが、それが「物語を紡ぐこと=命を描くこと」とエルサレムでスピーチをしていた村上春樹に通じるものがあると感じた。
自分も趣味ながら、落語やドラマの脚本を書いたりすることもあるが、正直自分の自己満足に終始し、読んでくれる相手を考えられていなかったと思う。商業作家ではないし、それはそれでいいと思う十分もいるのだが、やはりアマであってもそれなりの心構えは必要であると。
作家になる人達は、登場人物のことを深く考え共感することで心情を理解し、話の筋道を立て、物語を作り上げていく。その境地に少しでも近づくことが、自分の拙作を読んでくれる方、そして登場人物への敬意につながるのだろう。
「レジン〜」は自分が今まで読んだ中で異色の作品で、「こんな表現もあるんだ」とすごく勉強になった。次回作の「アカイロ/ロマンス」も1を読んだけど、伝奇ものとして、菊池秀行とかが好きな人にお勧めです。
作品自体の感想はあまり書いてないですが、終わり方は納得できるものではないかと思います。自分は楽しく読めました。続編となる「れじみる。じゃんく」はその後を描いたものなので、ここが本編で納得できなかった方にとっての救いになるんじゃないかと。
ちょっと長めのエピローグといったところですね。
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