ドラゴンキラーあります ドラゴンキラーいっぱいあります
面白い、面白いと言われても流していたんですが、とうとう読みました。
10年ほど前に「魔術師オーフェン」を読んだ時に感じたワクワク感。悪が悪と戦うときの、手段を選ばずなんでもあり。卑怯、ずるいは敗者の戯言と言わんばかりのだまし合いがたまらなく面白い。主人公のココは軍人上がりで、人より少し銃が上手いただの人間。それに対して周りは海千山千の強者ばかり。そんな彼らを相手に口八丁手八丁で切り抜ける様は、香港映画を観ているような爽快感が。
内容は大国の後継ぎ問題に関わる大事件なのに、箱庭感覚で全てが町一つに収まっているのも、読みやすさのひとつかと。
それにしても、主人公を含めどいつもこいつも危ない奴らだ。気分が悪い時は人を撃ち殺して憂さ晴らし、気分がいい時も人を撃ち殺して景気づけ。「最低と最悪を凝り固めたらこの町か」と相棒のリリィが言い放つさまが容易に想像できてしまう。
それでも面子に拘る彼らの生き様は、読んでて男らしさというか、骨太さを感じる。映画「スキヤキウエスタン ジャンゴ」や「7人の侍」に通ずるハードボイルドがそこにはある。
どちらから読んでも楽しめるが、もちろん「〜あります」から読んだほうがより世界観に入り込めること間違いなし。
- 作者: 海原育人,カズアキ
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
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