バカとテストと召喚獣3,5  4

ここ2、3日ずっと1から4までを繰り返し読んでいる。口語体中心で書かれている本作は、容赦ない会話のやり取りが絶妙な笑いを醸し出している。何度読んでも笑いが止まらない。合間にあるバカテストの珍回答にも電車の中で読んでいて噴き出してしまう始末。

気づいたのがキャラの動きや情景を地の文でなくセリフで説明していることが多い、ということだ。この形式は小説というより、落語で見かける形式だ。

「落語は会話で情景描写を、講談では地の文で情景描写を」とある落語家が説明していたのを思い出した。もしかして、筆者は落語好きなのだろうか。何回も読んでるうちに、まるで創作落語を読んでいるような錯覚を感じてしまった。

自分は学生時代に落語研究会に所属していて、その影響で現在落語好きの自分は枝雀落語を愛聴しているのだが、それに通じるものを「バカテス」に感じた。

言葉のかけ合いの中で起こる勘違いから生み出されるずれ。そのずれから紡ぎだされる物語はいつしか矛盾を孕み、キャラ同士の食い違いがいつしか読者を笑わせるほどの大きな揺れを引き起こす。

ここには談志の言う「業の肯定」が見え隠れしているように思える。

「バカテス」の会話は短いセンテンスの中で過剰な表現が生み出すギャップが見事な流れを作り上げている。ともすればお寒い独りよがりな文章に陥りかねないところを作者は自らの持つセンスあふれる冷淡さで引き離し、客観的な面白さを引き出すことに成功している。


とまあ、これ以上書いていくと、際限なく続いてしまいそうなのでこの辺りで一息。

何言ってようが(この場合は書いてるけど)とりあえず面白い作品を紹介できればいいってことで。例え一人か二人位しか読んでもらえなくとも、その人達が興味を持って読んでくれて、それでさらにその作品を好きになってもらえれば、それだけでここの役割が達成されたようなものです。

結構ぜいたくかな?

そうでもないかな?

そんなささやかな想いを込めて今回もおすすめします。

どうぞ今年度もよろしくお願いします。

バカとテストと召喚獣3.5 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣3.5 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣4 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣4 (ファミ通文庫)