アニスと不機嫌な魔法使い デュラララ!!
恐ろしく対照的な二冊であった。片や魔法使いのもとに引き取られた少女のお話で、王道を地で行く分かりやすさと安心感が溶け込まれた文章。片や池袋に住まう人々の表と裏を首なしライダーという都市伝説を軸に、スピード感あふれる文体で勢いよく読ませる。
こういう二冊を続けて読むと、ある一定のレベルに達した物書きに対しては良い悪いよりも、好きか嫌いかが基準になってくることがよくわかる。(未熟な文章は論外)
もちろん、全てが好き嫌いで判断されるのなら、批評なんてものは存在しないわけで。
万城目学が好きな人もいれば、赤瀬川源平が心の師な人もいる。年間、何万冊もの本が発行される中、自分が出会うのはほんの僅か。その中でも、毎日のように面白い本に巡り合える幸せに今日は感謝したいと思います。
別に特別なことがあったわけでもないんですが、なんとなく、そうなんとなく色々な人に感謝をしたくなっただけです。
で「アニス〜」。可愛らしいイラストとおとぎ話のようなファンタジックな物語はお互いの魅力を引き出し合ってました。何事にも前向きなアニスの元気が、本の中から今にもはみ出してきそうな気がしました。
「デュ〜」は、「池袋ウエストゲートパーク」を連想させる、一歩踏み外したら闇に飲み込まれてしまいそうな危うさと面白さを兼ね備えた作品でした。単なるストリートものにならなかったのは、デュラハン(ネタばれ)をうまく池袋という現代の街に都市伝説として組み込んでいるところです。
そこが、たんなる大衆小説ではなく、ライトノベルとしての区分けをさせているのでしょう。
そもそも都市伝説もある種の怪談話なんですよね。小泉八雲の描いた世界も、結局はその当時の人々の口承伝説をまとめたものだとされてるし。
これからの都市伝説はどんな突拍子もないものが生れてくるんだろうか。10年後もトイレの花子さんが残っていることを祈るだけです。
- 作者: 花房牧生,植田亮
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