学校の階段3,4

今回のお話は、3と4で上下巻と考えてもいいんじゃないかと。

自身を巡る争奪戦を通して、過去を振り切る泉とその影で少しずつ少しずつ闇を溜め、一気に吐き出した三枝。
部の中核である2年二人の思春期ならではの悩みにピックアップされ、微妙にリンクされた内容は、誰もが一度は通る道じゃないでしょうか。本当の自分を上手く出せないが為に周りとの誤解や軋轢を生み、結果お互い傷つけ合ってしまう。
言いたいことをはっきり言うのは悪くはないが、こと社会に於いては言わないことも又悪くないことなのだ。
今回の話はともに言わないが為に起こった事件だ。
「沈黙は金」という格言がある。
静かに空気を読むことで周りとの協調を求め、他人とうまくやるのもいい。だが、相手にとってどんなにツラいことでも、時には面と向かって言わなければならないことがある。

今回、階段部の面々はあまりにも不器用で優しすぎるが故に、距離を置いたり戦ったりする。
しかし裏返せば、それは心の奥底で信じているから出来ることなのだろう。
「助けて」の声が聞こえるからこそ誰1人離れることなく必死で2人を助け出そうと一生懸命になるのだ。
どんなときでも言いたいことが言える仲間がいることは素晴らしい。
でも、言いたいことを言わなくても分かってくれる仲間はもっと素晴らしい。
互いの気持ちを汲み取り合うことで生まれる信頼関係が嬉しくもあり、羨ましくもある。

この巻を通じて、ようやく階段部の足並みが揃った気がします。

後は井筒の告白騒動がどう転がるのかがモウヒトツの見所になりそうな予感。
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