とらドラ 7 8 9 10
とうとう読み終わりました。
進みそうで進まない展開にやきもきしながらも、7巻のクリスマスパーティをきっかけに各人の想いは転がり始め、8巻ではその想いがぶつかりあい修復不能か?と思わせるほどドキドキしてしまう自分と「もっと荒れろ!もっと荒れろ!」と期待して読み進めていくうちにニヤケてしまう自分がいて、次巻に期待してしまったりして。
この2冊では、これまでの緩い関係が一転、緊張感溢れたシビれる関係になっていて、それが読む方にとってはワクワクさせてくれる。
正直、7巻ではそこまで動きがなかっただけに(ラストは驚きというより「へ?」と肩すかしをくらった感じだった)、8巻の男子一同が女子の部屋に向かった場面では、見てはいけないものを見てしまった背徳感と自分達しか知りえない優越感の入り混じった複雑な感情の乱れが自分の学生生活になかったことに対してのあこがれとして胸に残っている。
他の読者はそこかよ!と思うかもしれないが、あれがいいのだ。なぜなら、自分は女子の部屋に行くほど女子と仲良くなかったからだ。
9、10は怒涛のように物語は進み、やがて収束へと向かい、多分というか予想通りの結末になった。
でも、ラストは個人的に「ちょっとな〜」だった。
ちょ〜っと、とってつけた感があるのだが……。
でも、これはこれでいいのだろう。しかし、どうにも作者のPCゲームの脚本家としての癖がでてしまったようだ。
それは、「とにかくハッピーエンド!」志向とでもいおうか。
職業作家としての逃れられない宿命なのだろう。
でもこのラストは、作者が作品にとってベストのエンディングと考えたのだろうし、否定するつもりはさらさらない。
ただ、自分の好みがテレビ版のエンディングだっただけだ。
自分はアニメを観て原作を読んだクチだが、これほどテレビ版の出来がいいライトノベルは珍しいと思う。もちろん、原作が面白いことが前提になるが、大抵のアニメ化作品は物語をなぞるものの、ラストまで到着できず、尻切れトンボみたいに終わってしまうパターンが結構あった。
だが、この「とらドラ」はテレビ版のラストに合わせて最終巻を発売するという、これまでのライトノベル作品ではなかったメディアミックス展開で上手く収めた。
原作の雰囲気を見事に表現したテレビ版は自分ランキングで、ここ数年来、一番の作品だ。
6巻の狩野すみれにたいする殴り込みを荒々しい描線で迫力ある映像に仕上げた16話
7巻で竜児が大河のマンションを出て会場へ向かった後、マンションの前で泣き叫ぶ大河を描いた19話(だったっけ?)
この2話が自分の中の「とらドラ」の地位をを決定的なものにした。
全巻を読んで一言で表すなら、
やはり、竹宮ゆゆこは脚本家なんだなー、と。
で、読んだ直後の感想、というかつぶやき。
とらドラ78
青春の山場、クリスマス。大河の後押し
竜児のボケボケ
みのりのかたくなさ
亜美の意地悪?
北村の天然
ここからは印象にのこった一節。これだけだと前後の文章がないと分からないだろうけど、とのかく心をつかまれた。
9
熱いのは、掴まれた喉か、掴む大河の手か。鳴り響くのはこの胸か、大河の心臓か…。
10
繋いだ手はもう離さない。
みんながいるから、竜児は世界のド真ん中で、誰よりも愛しい大河も笑っている。
馬は回すものじゃない。食べるものよ。
↑これにはやられた。さすが大河だと思った。
とにかく恋のABCがここにある……のかな?
虐げられるのが大好きな全国のMさんは絶対に読まないと損します!
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