手のひらに物の怪

スニーカー大賞受賞作家としてデビューなのに、受賞作品ではないという、ちょっと珍しい作品。
あとがきによると件の作品「ウォーターズ・ウィスパー」は『暗い・重い・痛い』の三重苦だから新たに書いたそうだ。刊行を躊躇われるような作品を発売してみるのも、新しい風を吹き込む意味でいいんじゃないかと個人的には思うのだが。

携帯にとりついた付喪神の設定は面白い。それが起こす騒動に振り回されるドタバタコメディかと思いきや、案外シリアス路線で意外だった。

でも、受賞作が三重苦であることをふまえると、きっと作者の傾向なのだろう。

大筋の流れはよめたが、ラストのヒルダさんはちょっとショックだ。これ以降はもう出ないことを考えるともったいない。折角のおねえキャラなのに。