電撃コラボレーション 最後の鐘が鳴るとき

本巻は、廃校が決まったMW学園(もちろん、あれの頭文字)の卒業式に起こった出来事をいくつもの視点から描いたオムニバス小説。

ホラー、ラブコメ、伝奇、ミステリー、アクションetc……。
電撃文庫の「幕の内」とでも呼んで差し支えのないバラエティあふれる物語達。
ただし、最後の成田良吾は回答編なので、絶対に最後に読むこと。

以上が注意事項。


それさえ守れば、後は読者のお好み次第でどこからでも。
どれもお勧めです。

お気に入りは「NICE GAY」。これはさわやか!最高に青春してます!主人公が不良とケンカして、多少なりとも分かりあったりするなんて、王道中の王道。それが親友の片思いの相手の為っていうのが、またポイント高し。
「本当に本当にこれで卒業だ!」
この叫びを読んだとき、アメリカの大学生たちが卒業式に帽子を空に放り投げる画を思い出しました。
他の作品は、ヒロインと結ばれたり、距離が縮まったりと進展があるのだが、これのように失恋におわるほろ苦さがまたぐっときた。

電撃版「愛と青春の旅立ち」です。これは。有沢まみずって全く読んだことなかったけど、読んでみようかな。
何を書いてたっけ?……「いぬかみっ」の人か。よし、早速明日探そう。

でも、「MW学園の崩壊」の結末は驚いた。全てを謎のまま終わらせるなんて!これって、電撃というより、コンビニで売ってる「本当にあった〜」にありそうな作品だ。

正直、これは後味悪かった。ほんとにこんなことあったら怖いね。


それぞれが同じ時間を共有しているだけに、他作品の人物が登場したり、コラボならではの絡み具合の絶妙さもまた読む楽しみの一つ。

広げるだけ広げられた大風呂敷も、しっかり締められており、感服。
それまでの学園内の設定をきちんと踏まえたうえでのラストは、全部をまとめなきゃいけないから、多少無理やりな部分はあれど、明日への希望を感じられる終わり方に好印象です。


ただ、自分がこの学園の生徒だったらと考えたが、こんなしょっちゅう誰かが行方不明になったり、心霊現象が起こったりする学校はちょっとねぇ。

隣の高校とかで、噂を聞いて楽しむ程度でいいかな。