蒼穹のカルマ１　２　３　　　結構小ネタバレ

「このラノ２０１０」の評判を聞きつけて、ミーハー気分で早速入手。

「まずは一巻」と読み始めてみると、どんどん進んでいき、気が付いたら三冊読破！
「スレイヤーズ」「魔術士オーフェン」の系譜を受け継いだこの「蒼穹のカルマ」は富士見ファンタジアの王道を見事に体現した笑作でした。

一巻からぶっ飛びまくった展開に「２巻以降はこのテンション保つの？」と一読者として心配してしまいました。

まずは自己紹介とばかりに空獣を打ち倒したと思ったら、異世界に召喚されるわ、魔王と戦うわ、古代遺跡に転送されるわ、神に試されるわ……。盛り込みすぎでしょ？

しかも、それらを乗り越えるモチベーションが姪の授業参観だとは……。

そこにいたるまでの道のりが激しすぎる。なのに、目的はささやかすぎる。
カルマの一途な想い(重い？)はどこまでも大きく果てしない。だからこそ、その情熱と目的のギャップに笑える。

ラストも広げまくった大風呂敷を小さくまとめることなく、大胆に包んでくれました。

二巻は、蒼穹園演武会という、騎士団内で行われる、いわゆる「天下一武道会」なお話。
この巻では今後、読者イチ推しになるであろう鳶一槇奈の登場。
彼女がまた濃いんだわ！「スレイヤーズ」ならナーガを思わせる突っかかり具合は、いいかませ犬キャラ。最後の最後まで面倒起こして物語を引っかきまわしてくれました。

それにしても、フライドチキンにはワロた。

新登場のばかキャラ松永も次巻以降の賑やかしとして楽しみな存在です。

新展開の三巻は驚きの学園物！？

騎士団団長の音音ちゃん(こう呼ばないと返事しない)の気まぐれで、高校に通うことになった鷹崎小隊と鳶一小隊の面々。

そこに待ち受けるのは、ちょっぴり甘酸っぱい恋のときめきや憧れの君との出会い……なんてことはなく、各自三々五々縦横無尽に所狭しと動き回っている。

特に熱いのは、駆真の水着姿を見るために力説する松永。
≪「……俺の予想ですが―駆真さんは、着やせするタイプです」
　その言葉にクラス中が騒然となる。≫

この後のクラス内の動揺は推して知るべし。ここだけでも読んでほしい。

でもそうそうのんびりもできず、ここぞとばかりに音音ちゃんの失脚を企む不届き者が襲ってきたり、魔王と再戦になったり……。

そういえば、全然空獣と戦ってないんじゃないかと思ったあなた。今回は、伏線が意外にばらまかれているので、三巻を読んだら続きを読まずにいられなくなるはず。

ここまでずっと高いテンションで笑わせてくれるカルマさんとそのゆかいな仲間達。
次はどんなところでどんな笑いを起こしてくれるのか、乞うご期待です。