戦闘城塞マスラヲ2
1巻で破竹の3連勝をして、このまま行くのか?と思わせておいて、
3百万の借金を背負わされたヒデオ&ウィル子ペア。
真っ当に働いてもそうそう返済できる金額ではない(ましてやひきこもりには死ねと言ってるも同然)。
そこでヒデオ達が取った行動は……。
なんと、借金先の魔殺商会が抱える債権者の取り立てを行う代わりに借金を棒引きにしてもらう条件で就職してしまったのだ。
まさかの悪玉展開に喝采。失うもののない彼だからこその捨て身の選択に、周りは避難轟々。いやー、悪って面白い。悪って素晴らしい。何でもありです。
一週間で4勝上げて、単独首位!でも、上には上がいるもの。一晩明けると順位は下降。首位は驚きの200勝!?
どうやればそんなにとれるの?
その方法を確かめるため、そして首位に返り咲くために二人は、魔殺商会のメイド、クラリカと共にエリーゼ興業へ殴りこみ!
そこで出会ったのが、天然のボケボケ精霊エリーゼと元勇者、長谷部翔希。
だが、元というだけあって、タダ者ではない。
≪「黙れ!お前に何がわかる!?大学四年目のほとんどを就職に費やした挙句、面接した五社ともに不採用を出された俺の何が!!ああそうさ、この不景気さえなければ俺は……!」
どがんっ!!
「「!?」」
ヒデオは思わず、応接用のテーブルを蹴っ飛ばしていた。
(……)
笑える。
五社。たかが五社だ。いくらあっちこっちと呼ばれる世界で勇者をやっていたといえども。現実の世界に出ればそんなものか。随分ともろいではないか。
ヒデオは静かにサングラスを外して見せた。そして真っ直ぐに翔希を見据える。
「何が、大学だ。馬鹿学生め。社会を……、なめるな」
「ぐっ……!!」
「勇者だったという過去の栄耀にすがり。それを笠に着ただけの、デク。この。偽善者、め……」≫
ヒデオの暗黒オーラに激しく共感。ニートの心をよくぞ代弁してくれたと心中で拍手喝采!
しかーし、勝負は別。一体何で戦うのか、まともな勝負じゃ勝てっこないない。
そこで向こうから提案されたのが、「聖魔グランプリ」。
え?次回はカーレース?もちろんただのレースになるとは思いません。
きっと、弾幕張りまくりのエキサイトなレースになること必至。
本人の思惑とは裏腹に、どんどんエスカレートしていく誤解。ほんとにやってけるの?ヒデオ君。と心配になってしまう。でも、全身タイツの一味のように下っ端根性丸出しの自分としては、是非ともこの快進撃を続けていってほしい。
でないと、面白くないもんね。
ちなみに自分のイチ推しは、ステーキ屋「ワイルドハンニバル」での一コマ
≪「お……王子……」
「よしてくれ」
ハニ悪は拒絶した。
「人違いさ……」
「お二人が何が言いたいのかはウィル子にもわかりますけど!マスター、どう考えてもこれは違います!!王子はこんなに悪くありませんッ!!同一視しては失礼です!!」
「……。しかし。では、お馬の」
「ジンベエなら」
ヒデオの声を遮るように。そして、ハニ悪は、」どこか寂しげに紫煙をくゆらせた。
「海に帰っちまったのさ……」
「……。サメ……、だったのですか……」≫
このネタいいの!?と一人で大爆笑!ヒデオの言いたいこともよくわかる。そっくりさんがいたら、絶対に聞いてしまう。ていうか、ウィル子わかるのかよ!って思わず突っ込んじゃった。そしたら、「海に帰った」て。サメかよ!
ここには昭和の香りを知る者だけが共有できる甘美なフレーズに満ち満ちている。
いつか、のっぽさんや「たんけんはっけんぼくのまち」も使ってくるんじゃないか?
戦闘城塞マスラヲ〈Vol.2〉神々の分水嶺 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 林トモアキ,上田夢人
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/06/01
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