戦闘城塞マスラヲ3

今回も彼らは燃えていました。聖魔グランプリでは、エリーゼのどSな本性が現れ、
ヒデオと美奈子は窮地に陥ってしまうが、それをものともせずゴールへ向かうヒデオは今回もハッタリかましまくりでカッコいい!本当にヒキコモリ?と疑いたくなるくらいカッコよくなっている。そりゃモテ度も上がっていくわ。


≪(……)
 初めて知った。争い、傷付き、血を流すことがこんなに辛く、悲しく、恐ろしいものだと。みんなこうなのか?参加者たちはこうやって、バトルだなんてカンコイイ言葉で虚飾して、こんな辛いことを続けているのか?
 そんなのはもうたくさんだった。負け犬にはわからない。何が楽しいのか。せめで自分が勇者だったら。ヒーローだったら。そんなことも正義の為と自分自身に言い聞かせ、今ここで戦えたのか。

中略

聖魔杯に参加したのは、自分の意思だった。美奈子を助けたのは自分の意思だった。その場の雰囲気でかっこつけて、ウィル子に必ずと言ったのは自分自身だった。
 だから。正直に思う。
 「つらい……」
 いっそエリーゼに殺して欲しかったのだ。
 必ず、なんて言わなければよかった。ウィル子の言うとおり、美奈子を見捨てていればよかった。こんなレースでなければよかった。そもそもこんな大会、出なければよかった。
 体が寒い。足が痛い。もう一歩も動きたくない全部全部投げ出してしまいたい。
 だから今なら、本当に正直に思える。優勝なんてどうでもいい。
 「……、帰り、たいっ……」
 あのアパートで死んでた方が、もっと、ずっと楽だった。
「……それ、でも……。僕はっ……」
 それでも言ってしまったじゃないか!!親にも見放された自分をただ一人、信じてくれたパートナーと、そう約束したんじゃないか!!≫


3巻は総じて上昇志向の回だ。ヒデオの本音は「もうやめたい」。でも、ウィル子との約束を守るために進む。その結果が、聖魔グランプリ優勝と、酒場での勝利。特に、酒場での歌は、本当に勇気づけられる。

高校時代の思い出。それはあまりにも眩しすぎて、今のヒデオにとっては直視できないほど輝いてた時代。
 一体いつから自分はこうなってしまったのかと自問するが、彼がそうやって悩み、考えることが、ウィル子を始めとする人たちの為にも生まれ変わらなければと前に進む勇気を生み出していく。

どんなときでもハッタリで困難を乗り越えていくが、彼がただのヒキコモリであること、そのことにコンプレックスを持っていること。それでも、何かに突き動かされるように、歩むことをやめない。

だからこそ、なんのとりえもないのに、いつも何とかしようとあがく彼を応援したくなる。ヒデオ&ウィル子の行きつく先はどこなのか。
楽しみが膨らんだ3巻だった。