戦闘城塞マスラヲ4
優勝に向けて走り出した彼らを一体誰が止めるのか?
留まることを知らないヒデオ&ウィル子ペア。
だがクロスフラッグスの終盤戦、その快進撃もとうとう鈴蘭に見破られ、孤立させられたヒデオ。
≪「……お前、ほんとは弱いだろ?」
「っ……」
心臓を冷たい手に掴まれるような心地。
いやだいやだいやだ、違う違う違う、もうそんなではなかったのに、もうヒキコモリの負け犬ではないはずなのに、誰よりも成長したはずなのに、どうして、どうして、生まれ変わりたいのに、成長して生まれ変わったはずなのに……!
(僕には……)
自分には何もない。負ければ何もなかった。帰るべき場所などない。居場所などどこにもない。負けたくない。負け犬はもう嫌だ。勝てなくてもいい、ただ負けたくない……!≫
ヒキコモリになってから、初めて手に入れた自分の居場所とでもいうべき場所。「そこにいてもいいよ」と許された彼が手に入れたものは、所詮仮初めのものだったと気付かされた時の絶望やいかに。いくら彼が成長したといっても、他の参加者たちが持っている力に比べれば微々たるもの。どんなにみっともなく、はいつくばるようにあがこうとも、持って生まれた力の差はどうしょうもない。
≪勘違いに、今ようやく気が付いた。
アパートに引きこもっていた自分と、この都市に来た自分の差。
自分は何も成長などしていなかった。
生まれ変わってなどいなかった。
ただそこに、ウィル子がいてくれただけだった。≫
悲しかった。そんなこと言ってほしくなかった。持ち前の目つきの悪さとハッタリと交渉力で最後まで諦めないでほしかった。勝手な言い分だが、この場面を読んだ時の偽らざる心境だ。
が、物語の終盤、自体は動きだす。
突然の急展開に一体何が起こっているのか?ちょっとついていけなくなりそうになった自分がそこにいた。が、そのとき自分の胸によぎった言葉は――。
「……そうか、ここからが本番なんだ」
このまま尻つぼみ的な終わり方になるかと、少々失望しかけただけに、大きく出た4巻ラストには5巻への期待が生まれました。次回が楽しみだ。。
戦闘城塞マスラヲ Vol.4 戦場にかかる橋 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 林トモアキ,上田夢人
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/08/01
- メディア: 文庫
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