戦闘城塞マスラヲ5

とうとうラスト。泣いても笑ってもこれで終わり。一言で言うなら、「最高!!」に尽きます。読みどころが多すぎて、どれを挙げればいいのやら。

≪「まぁ、今の状況では我々は世界を破滅に導く手伝いをしているだけだ。それだけであれば、死んだ方がマシなのかも知れんが……だからといって、今すぐ死を選ぶ必要もあるまい。どうせ我々には命意外に失うものなどないのだ。誰かにわがままを言ってみるのもいい。ミッシェルが来たときに、欲しいものを言ってみるのもいい。こんな暮らしだが、死ぬまでの時間はあるのだ……ならばそのときまで、好き勝手生きてみたらどうかね」

苦悩するヒデオに響く大佐の言葉。そう、皆同じ。死ぬ時は何ももっていけない。失うものは命だけなのだと……。死ぬまでは、生きてみる。≫


ヒデオにとっても、これを読んでるニートな自分にとっても気持ちを楽にさせてくれる言葉だった。

本文中の言葉を引用させてもらうなら
[肩の荷を下ろしてくれるような言葉だった。]ですね。


≪(……そう、か)
 簡単なことだった。
 誰も生まれ変われはしない。長い人生の中で、少しずつ変化していくだけだ。生まれ変わるなど、理想。所詮、死んだ後の話。
 だが、戻ることは別だろう。
 誰にでもあった子供時代。周囲の目など気にせず馬鹿みたいに叫びまくり、遠慮会釈無く暴れ回っていた幼かった頃を。何もかもが楽しかったあの頃を……思い出し、戻ることくらいはできるだろう。
 そしてヒデオは思い出したのだ。
 周囲の目など気にせず、いま馬鹿みたいに叫んだことで。あの頃の気持ちを、わずかでも思い出したのだ。
 
(僕は、信じる……!)
僕ならできると!!

中略

ヒデオは真っ直ぐに顔を上げる。その不遜な声。その不敵な笑み。川村ヒデオという青年が初めて見せた、この都市の誰一人として知るはずの無かった、それが本当の貌。
あの頃の自分。
本当の自分。
だからヒデオは、胸裡に小さく呟いた。

ただいま、世界!
俺は、帰ってきたぞ――!!≫


最初から最後までクライマックスの展開に、体中が総毛だってしまった!この熱さは、そうそうお目にかかれることはない。

最初は、貧弱ニートが最強を目指すとかなんとか言ってる、ラノベのテンプレ的な作品だと思って侮ってたら、脳天にスコーンと響いちゃいました。5巻読んだ皆さん、気づきました?もちろん気づいてるでしょうが、一人称が「僕」から「俺」なんですよね。
ここまできた彼の成長がこの一文字に集約されているんですよ。読んでて思わずうきうきしちゃいました。

ヒデオが悩みながらも前に進もうと努力する姿は、愛だの恋だの年がら年中発情してるそんじょそこらのなんちゃって青春小説なんかより、よっぽど救われる気持ちになれる。

いきなり、美女が現れてどうこうなんて上手い話はぜっっったいにないっ!!!!
(でも、考えてしまうのが男の悲しい佐賀)

そんなこと考えてる暇あれば、これ読め、これ。

損はさせないよ。


本当に、本当にマスラヲという作品に出会えた幸運に感謝したい。

引用が多いのは、それだけ響く言葉あ多いということで、お許しを。