アカイロ/ロマンス6

ようやく読み終えました。
前巻の引きで、どんでん返しがあっただけに、どう始まるのか思っていたが、静かな始まりに拍子抜け。でも、その静かさが景介の心中に渦巻く葛藤が引き立ってより鮮明に浮かび上がらせてくれる。

≪『電源、入れなさい』 ≫

この言葉が迷う景介の心を後押しして、物語はまた動き始める。

供子、血紗、血香、通夜子、巳代、檻江、歩摘、棗、型羽、館奈、砂姫、夭、木春、そして枯葉。

彼女達一人一人が己の信念、生き方を賭けて戦う。それは、読んでてとても悲しくなる。
なぜ争うのか。なぜ分かりあえないのだろうかと。
だが、そういうことでしか自分達を語れない。それが、鈴鹿

あとがきを読むと、そのやりきれなさが少しは救われた気持ちになる。

≪誰かや何かを好きになるのは当たり前のことであり、とりたてて素晴らしいものではあり ません。それが見にくい感情へと繋がることもあるし、厭な思いをすることだってありま す。好意の結末が幸福であるいう保証もなく、好きになることと幸福になることとは実際 のところ、世間で言われるほどイコールで結びついていないと思います。
 
 けれど、好きという感情を一切廃した人生を送るのは、憎しみや恨みを持たずに生きてい くよりもずっと困難であり、それは間違いなく不幸なことでしょう。≫

今の自分が好意で接したことが必ずしも親切に繋がるとはかぎらない。その逆もまたしかり。人間の世はかくも住みにくいものだと思いますが、それでも生きることを辞めるわけにもいかず……。世の中そうそう思い通りになる訳ではないですが、毎日悔いのないよう頑張っていこう、そう思えました。

このままいい感じで終わるのもたまにはいいかもしれませんが、やっぱりはずかしいですな。へへ。

最近、「男の一生」(男は女へん)て枯れ専の作品を読んだんですが、面白いんですよこれが。
30半ばにして独身。だけど、男を必要としない女性が50代の男性と縁あって同居することになった、という話なのですが、「ホタルのヒカリ」ほどコメディしてなくて、画の持つしっとりとした艶っぽさにたまらなく色気があって、これぞアラサー女性に読んでほしい作品!と太鼓判を押します。どうぞこちらもお試しあれ。

娚の一生 1 (フラワーコミックスアルファ)

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