迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ
やっと読み終えたというのが最初の感想。
450Pは長いね。でも、それだけの物語がここにありました。
迷宮街を去る決意をした真壁、残り続ける他のメンバー達。
彼が求めていたものは何なのか、望みのものが手に入ったのかどうか。
答えは見つかったのか。でも、進み続けなければならない。それが彼の人生だから。
これは、今の自分の境遇に迷っている、自分は何をしたいのか、そんな人に読んでほしい作品です。自分が特別な誰かでなく、どこにでもいるその他大勢のうちの一人と自覚することから始まる真壁の物語は丁度、現代社会で迷う人達に通じるものがあると感じられました。
回り道かもしれない。全然違う道を歩いているのかもしれない。人の数だけ道はある。でも何が起こっても、進むしかない。苦しみや悲しみの果てに見えるものは、一体何なのか。それは、物語の中に生きるキャラクター達だけでなく、これを読んだ読者、一人ひとりに言えることだと思う。
今は大変でも、乗り越えたその先に見えるものは、きっと素晴らしい眺めに違いない。そう信じるからこそ、誰もが希望を持って生きていけるのだろう。
≪「やりたいことがある?」
「ええ」
恐ろしい顔つき、と皆は言う。しかし怖くはなかった。造作はともか く、中にあるのは信頼できる人間だと感じられるからだろうか。後藤 はうなずいた。
「ならそれをやるといいでしょう。大きいことをするには会社に入るべきだけど、好きなことをするには一人でいるべきだ」≫
後藤さんの言葉に自分は目から鱗な思いがした。実際に働き始めて感じた矛盾をこの一言が全てを溶かしてくれた。
飾らない言葉の端々が教えてくれる隠された真実。
この「迷宮街クロニクル」は小説という隠れ蓑を被ったビジネス書ではないかと錯覚してしまった。
今回の感想は、ちょっと堅苦しいので「ウゼ―」と思われた方は、どうぞ無視して、ぜひぜひ「迷宮街クロニクル」を読んでみてください。
- 作者: 林亮介,津雪
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2010/03/16
- メディア: 文庫
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