クリスマス上等

聖剣の刀鍛冶」の三浦勇雄のデビュー作品。
「クリスマスイブ、突然サンタクロースに選ばれた」主人公・五十嵐鉄平が同級生・古都ゆかりの笑顔を守る為にがんばる、というお話…なんです。

三浦作品は「聖剣の刀鍛冶」の1巻だけ読んで、なんとなく合わない気がして、1年位疎遠になってました。今回、たまたま読んだのですが、良かったです。どの作家もそうだけど、デビュー作ってアイデア先行の部分があって、文章はところどころ稚拙な部分があります。

でも、それを補って余りある荒削りの面白さがありました。こういう、高校生の主人公が一人の少女の笑顔を守る為に立ちあがる話っていうと、いつも「ネガティブハッピーチェーンソーエッジ」を思い出します。多分、以前にも書いてる気がするな、これ。まぁいいや、年寄りの繰り返しと思って流して下さい。

今回、自分が一番好きな部分はあとがき。「あとがき?」と思いますが、ときにはその部分に一番作者の伝えたいことが書いてあるものです。でも、今回は、自分が印象に残った部分として、紹介します。

≪最後に、読者皆様へ。
 俺の小説は全然足らねーです。技術も知識も未熟で、身長も一六三センチしかありません。自分の力量不足と背の低さにはいつもいつもいつも腹が立ちます、でも、男ですからね、投げ出したりしませんよ。親のつけてくれた「勇(いさましい)雄(オス)」(これ本名です)の名に懸けて、全力でライトノベル界にぶっ込みます。拙い俺を、どうぞこれからよろしくお願いします。それではまた、機会に恵まれたら会ってください。
                 平成十七年九月 三浦勇雄

これっすよ!この「男ですからね、投げ出したりしませんよ」!ここにグッときちゃいました。これから「クリ上」を読もうと考えてる読者の方は、絶対にあとがきも読んで下さい!でないと、作品の四分の一は損してますよ!

ところで全然、作品の内容について触れてませんが、気にしないでください。そういうこともあります。

初心に帰りたい時、これを読めば間違いなし!

クリスマス上等。 (MF文庫J)

クリスマス上等。 (MF文庫J)