ゴールデンタイム3

<−ラブの終着駅はどこなの!?
 日付が変わった頃、酔った千波が転がってサキイカを食いつつ喚いた声に、柳沢は腹筋で
起き上がりながら「結婚!」と答えた。「その後は多分、惰性だ!生活だ!現実だ!」と。二次元君は「人は誰しも先の見えない愛という線路を旅する電車……脱線すれば駅にはたどりつけぬもの……ちょっと今のフレーズよくない?つかえるぞなにかに」すかさずメモに残そうとアイフォンをいじりだした。
 そして万里と香子は、目を合わせ、声を合わせて、「パ・リ〜!」と。
 なんで?と問う千波に理由は伏せて、二人して、端から見れば死ぬほどうざいのも承知で笑い続けた。
 二人のラブの終着駅は、パリにある。>



前回で晴れて付き合うことになった香子と万里。
とらドラ」では、付き合うまでの過程を描いていたのに対して、
やはり大学、ということで付き合ってからの初々しさ、微妙なギクシャク、はしゃぎ、
どれもが微笑ましく感じられるのだが、そのまま上手くいくかと思いきやそうは問屋がおろさないのが世の常。

万里と同じ高校だったリンダ、千波に振られ傷心のやなっさん、ウォッチャーとして場をなごましてくれる二次元君。

いいよね。これぞ学生生活ってやつだとしみじみ自分の若かりし頃を思い出しながら読んでしまいます。

これから大学に入る人、すでに大人になってしまった人、自分の中では万城目学森見登美彦と肩を並べる面白さ。「鴨川ホルモー」や「夜は短し歩けよ乙女」などに通じるものを感じました。


もう一回大学入り直したくなる…。